理系の芽を育てるなら!かこさとしさん「かがくのほん」シリーズの魅力を語る
「だるまちゃんとてんぐちゃん」「からすのパンやさん」など、物語の本が有名なかこさとしさんですが、理科系の絵本こそさらに貴重な、かこさとしさんならではの絵本ではないでしょうか。
以前、当ブログでも、かこさとしさんの「からだのほんシリーズ」の1冊、「むしばミュータンスのぼうけん」をご紹介しました。
その「からだのほん」シリーズに負けず劣らず、「かがくのほんシリーズ」が本当にすばらしいんです。
かこさとしさんは、「かこさとし 人と地球の不思議とともに」のインタビューの中で、子どもを「小さなアインシュタイン」と呼んでいます。
かこさとし: 世界と子どもの不思議と共に (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
- 作者: 河出書房新社編集部
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また、子どもたちをいつも「子どもさん」と「さん」付けで呼んで、決して子ども扱いせず、物事の真理を理解しうる賢い存在として尊重しているのが分かります。
そんなかこさとしさんですから、「かがくのほん」にかける情熱には並々ならぬものがあります。
実際に、「かがくのほんシリーズ」を手にとってみましょう。
科学の芽を育てるうえでの狙いの深さに驚かされます。
例えば、「よわいかみつよいかたち」では、貯金箱の中の10円玉を乗せていくことで紙の強さを比較する実験をしますが、この貯金箱の中にある10円に限りがあることが「研究の限界」を示しているそうです。
同じような研究でも、どのくらいの規模で調査するのか、どこで調査するのかなど…条件によって結果は変わります。それが、研究です。
「研究の限界」とは、研究はあくまで先人からの積み重ねであり、1つの研究でわかることは限られているという、当たり前だけれど正しく謙虚な考え方です。
(研究に携わる身としては、極端なことをあたかも万人に共通するかのように結論付けて伝えるような報道に惑わされず、どうかこの考え方を忘れないで欲しいと常々思います)
また、「なんだかぼくにはわかったぞ」では、おじさんからもらった熊の人形が何でできているか、実験して答えを導きます。
なんだか ぼくには わかったぞ (かこ・さとし かがくの本)
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論理的な考え方、仮説の立て方、物事の整理の仕方…
これらが絵本として、まるで自分が実験しているかのように臨場感を持って分かりやすく描かれているのですから、脱帽です。
なお、理系の絵本を製作するにあたって、子どもにウソを教えないように、数十年後も通用する真実を描くよう努めていたというかこさとしさん。
まさに、数十年経った今でも、科学の根底にある真理を伝える絵本として、色褪せることのない輝きを放っています。
このように、「かがくのほん」シリーズは、
子どもに理系の基礎を伝えるのに、これ以上の教科書はないんじゃないか?!
というくらい、私たち理系の夫婦が手放しで絶賛したくなる内容ですので、是非多くの子どもたちに読んでもらいたいと思います。
今日の絵本
「おすしのずかん」「ノンタンタータンあそびずかん」「むしばミュータンスのぼうけん」「とけいのほん①」
長男5歳 次男2歳
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