お友達の持っている物が欲しい!「だるまちゃんとてんぐちゃん」
小さい子って、お友達の持っている物と同じ物を欲しがってしまうこと、ありませんか?
先日、長男が選んで新しく買った運動靴はちょとキラキラしたデザインで、聞けばお友達がキラキラした靴を履いていたとのこと。
兄弟でも、1つしかないアンパンマンことばずかんのペンを取り合ったり、弟がトーマスのパジャマを買ってもらうと同じがいい…と言ってみたり。
ロングセラー絵本「だるまちゃんとてんぐちゃん」では、そんな小さい子どもの姿が描かれています。
物へのこだわりを見せる幼児の姿
「だるまちゃんとてんぐちゃん」では、だるまちゃんがてんぐちゃんの身に付けているものを次々に欲しがります。
それを聞いたお父さんのだるまどんは、たくさんの物を出してくれるのですが、
「こんなうちわじゃないんだけどな」
と、だるまちゃんのお眼鏡に叶いません。
最後にはお父さんの勘違いに、だるまちゃんは「ちがうよちがうよ」と、怒ってしまいます。
自分がおねだりしたのにかんしゃくをおこしてしまう身勝手さ、けれども欲しい物と別の物をあてがわれることに納得できない物へのこだわり。
だるまちゃんを通じて、幼児の姿そのものを映し出しています。
ものづくし…絵を見る楽しさ
「だるまちゃんとてんぐちゃん」の面白いところは、お父さんのだるまどんがだるまちゃんに出してくれる圧倒的な数の品々。
うちわならありとあらゆるうちわ、帽子ならありとあらゆる帽子がずらりと並んだ様子は、図鑑を眺めるように楽しく、好きな物や変な物、知っている物を見つける楽しみもあります。
けれども、だるまちゃん(子ども)が求めている物はお父さん(大人)が出してくれた品々の中にはなく、別のところにこっそり描かれているんですよね。
なお、この「ものづくし」と呼ばれる絵はかこさとしさんの絵本の特徴で、同じく代表作の「からすのパンやさん」などでも見られます。
50周年を迎えた「だるまちゃんとてんぐちゃん」
「だるまちゃんとてんぐちゃん」は2017年で50周年を迎えた、超ロングセラー絵本です。
作者のかこさとしさんは、東大工学部卒で戦争経験もある異色の経歴で、子どもたちに愛情あふれる絵本を数多く書かれています。
子どもの本質を捉えた絵本は、時代を越えても色褪せることなく、子どもたちを魅了するのでしょう。
ちなみに、だるまちゃんシリーズの他の絵本は、「だるまちゃんとてんぐちゃん」とはまた違い伝承あそびなどを取り上げた内容で、小さい子には少し難しいかもしれません。
かこさとしさんを取り上げた雑誌もあります↓
「かこさとし 子どもと遊び、子どもに学ぶ」別冊太陽248 平凡社
かこさとしさんと野村萬斎さんの対談では、「だるまちゃんとてんぐちゃん」も出てきます♪
かこさとしさんの絵本は他にもご紹介しています↓
さて、前述の長男ですが、最近は弟に2つある電車のおもちゃのどっちがいいかを選ばせてあげる(と親に誉められる)ことを覚えました。
物へのこだわりも、少しずつ折り合いをつけていけるようになるんですね。
今日の絵本
「こんとあき」「もりのクリーニングやさん」「おちゃができるまで」「くだもの」