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時代とともに変わる絵本…改訂版で消えた問題のモノとは?!「たっちゃんのながぐつ」

昔と今の絵本、比べてみたらこんなに違う!


「こぐまちゃん」シリーズで人気のわかやまけんさんによる、「たっちゃんとさっちゃん」シリーズ。

前回の記事では、「たっちゃんのながぐつ」の物語をご紹介しました。

 

たっちゃんのながぐつ

「たっちゃんのながぐつ」 作:わかやまけん こぐま社

 

実はこの「たっちゃんのながぐつ」、現在販売されているのは2013年に出版された改訂新版ですが、もともとは、1976年に出版された作品です。


リニューアル前の版を偶然手にした私たち親子は、その違いにびっくり!しましたので、どこがどんな風に変わっていたのか、考察とともにご紹介します。

 

今の時代では見かけない「歩きタバコ

改訂版で削除されていたのが、この「歩きタバコ」です。

昔の版では、たっちゃんと一緒に長靴を買って帰る途中お父さんが、なんと歩きタバコをしています。

 

この絵を見て、当時2歳の息子が
「これ何?」と。
身近に喫煙者がいなかったので、タバコを知らなかったんですね。

 

今の時代では、医学界からの健康被害(喫煙だけでなく受動喫煙のリスク)の指摘や国際社会からタバコ対策が立ち後れている現状があり、歩きタバコを取り締まる地方自治体の条例が存在します。

国際オリンピック委員会世界保健機関は開催国に対して「たばこのない五輪」を求めていることから、2020年に東京オリンピックの開催を控える東京都の今後の動きに注目です。
(都議選の結果が追い風になるでしょうか?)


一方、昔の絵本には、タバコを吸うシーンがしばしば登場します。
成人喫煙率は今でこそ23.7%(2016年)ですが、1966年のピーク時は成人喫煙率が83.6%もあったのですから、無理もないでしょう。

ただ、やはり健康被害の観点から言えば、絵本のタバコシーンはリニューアルされてしかるべきではないでしょうか。


こういった変化を鑑みると、手放しで昔の絵本がいい、とは言えないと思います。

もちろん、ひと昔前の絵本には、黒電話が出てきたり箱形のテレビだったりと、その時代が垣間見える面白さもありますが…。


復刻版でみられるもうひとつの変化


「たっちゃんのながぐつ」でリニューアルされていたのは、歩きタバコだけではありません。
ちょっとした台詞の言い回しも、1つ1つ細かく修正されているんです。

 

例えば、たっちゃんが買ってもらった長靴を頭に乗せて踊るシーン。

旧「たあららら つうららら」→
新「たんたらら つんたらら」

 

また、たっちゃんが長靴を片方なくしてしまうシーン。

旧「なくなっちゃったの かたっぽ」→
新「ながぐつ かたっぽ なくなっちゃったの」

このように変化しています。

 

これらの言葉の変化は、時代の影響とは考えにくいですが、それでもリニューアル版を出すに当たって、あえて書き換えている。
そこには、作者のわかやまけんさんの、言葉へのこだわり、良質な絵本作りへの情熱が感じられます。


短い言葉の中に子供の本質を表現するわかやまけんさんの作品。
この「たっちゃんとさっちゃん」シリーズ「こぐまちゃん」シリーズ、どちらもオススメです!

 

今日の絵本
「おつきさまってどんなあじ?」「あしのうらのはなし」「もりのおべんとうやさん」「たんじょうびおめでとう」 「じゃあじゃあびりびり」「ばいばい」
長男3歳 次男1歳

 

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